最近、貸金業者や債権回収会社が、大都市の簡易裁判所にて、日本全国の借主を被告とする貸金請求訴訟ないし譲受債権請求訴訟を多数提訴しているようです。

 これらの案件の中には、時効の知識のない借主に対し、消滅時効が完成した後になって、貸金業者や債権回収会社より弁済するよう強く催促し、その直後に提訴されている案件もかなりの数に上って報告されています。

 通常、消滅時効完成後に、借主が時効消滅を知らずに弁済した場合、時効を援用できなくなると言われていますが、上記のような事案について、時効期間経過後に貸金業者の督促に応じたことによる弁済がある場合にも、なお時効援用権を喪失しないという判例がいくつか存在します。

 消滅時効完成後に弁済された場合、債権者に債務者がもはや時効を援用しないであろうという信頼が生じるため、信義則により時効援用権を喪失するという昭和41年4月20日最高裁判決がありますが、事実を客観的に見た場合に、債権者のする時効援用権喪失の主張が信義則上認められないと判断され得る事案も多いということです。

 もし時効援用権を喪失したと思い込んで、司法書士などの専門家に相談するのを断念している方、その他心当たりのある方がいらっしゃれば、まだ間に合うかもしれませんので、ご相談いただくようお願いします。

土田司法書士事務所