自己破産を申し立てると、破産開始決定前または免責決定前に、裁判官による審尋が行われることがあります。審尋とは、裁判官が破産申立人に直接会って、破産に至った事情や、申立書類からわからない事項を質問する手続です。

 

 岐阜地方裁判所では、少し前の一時期、申立書類の内容に怪しいところがあると、少額管財事件に回されてしまうことが多々ありましたが、管財事件になると、まとまった予納金を納める必要があり、申立人に大きな負担となるため、審尋により不明な点を解明しようという流れは、歓迎すべきものです。

 

 といっても、審尋によって、同時廃止事件で手続してもらえると決まるわけではなく、審尋の結果、裁判官の中でやはり調査が必要との心証が生まれれば、管財事件になってしまうので、十分に備える必要があります。

 

 審尋が破産開始決定前に行われるときは、同時廃止事件か管財事件かの見極めをするのが主な目的だと思いますが、免責決定前に行われるときは、免責にしてよいかを決めるのが目的というよりは、今後の生活をきちんとしていけるかどうかを見極めるのが目的のように感じます。

 

 審尋の場で、嘘をついたり、下手にごまかしたりすると裁判官の心証が悪くなり、破産手続に悪影響を与えるので、質問には正直に返答するのがよいでしょう。

土田司法書士事務所