こちらの続きです。

1.平成25年6月25日東京簡易裁判所判決
 時効期間経過後に弁済をした場合でも、時効援用権を喪失せず、時効援用を認めた事案です。「被告が専門家に相談するまで待ってほしいと依頼したのに対して、原告はその暇を与えず、時効制度を知らない被告に対して、債務の一部弁済を迫って時効援用を阻止しようとした」と認定し、信義則上借主が消滅時効を援用しないであろうという信頼が貸金業者に生じたとは言えないとした判例です。

2.平成25年3月15日東京簡易裁判所判決
 上記と同じ事案で、弁済しなければ職場や家族に連絡すると脅した原告の執拗な取立行為を認定し、最後の取引日から10年経過していたこと、当該弁済の比較的する後に提訴されたことを考慮し、信義則上、「被告がもはや消滅時効の援用をしない趣旨であるとの保護をすべき信頼が原告に生じたとは到底解することができず、被告に本件消滅時効の援用を認めてこれを保護するのが相当」という判断を下した判例です。

3.平成25年6月24日東京簡易裁判所判決
 上記と同じ事案で、時効期間経過後に貸金業者から一括請求を受けて、当該業者より速やかな弁済を求められたことによるものと認定し、貸金業者であれば消滅時効を十分に承知していることも考慮した上で、「被告は、上記支払当時、消滅時効の知識があったならば、消滅時効を援用することが確実に予想されたことなどの諸事情がある」として、信義則上、借主に消滅時効の援用を認めた判例です。

土田司法書士事務所