業者の取引経過の開示が不十分なため、または長期間経過のため破棄されたため、すべての取引経過が判明しない場合があります。この場合には、依頼者の自己申告によって取引経過を仮定・推定し、過払金を算出するしかありません。

 当事務所の場合、開示された取引履歴の内、初めの取引の時点で既に過払い状態にあったと推定し、それ以前の取引は無視して計算することにしています。

 しかし、その時点で既に長期間に渡って取引をしていた場合は、記憶をもとに更に多額の金額を要求することもしてよいでしょう。

 借入時期について、いつごろ借入れをしたのかを尋ねても、記憶がはっきりしないことが多いです。しかし、就職した時、子供が入学した時など、一定の節目の前後かどうかで記憶が鮮明になるこももあります。また、他業者との比較で、こちらのほうが半年くらい早かったという記憶も残っていることもあります。

 そこで、判明している直近のパターンを、過去についても同様にあてはめて計算することも一方法です。開示された経過の冒頭が端数の金額になっている場合、その後の半年から1年分程度の経過を、当該残高になるまであてはめて計算することもできます。

 一部、契約書や領収証がある場合、当該契約書・領収書に約定利率や約定残高が記載されているので、これに整合するように上記のあてはめを行うことが必要となります。

土田司法書士事務所