自己破産をすると、所有している不動産または不動産持分はお金に換えて債権者に分配する手続が行われます。つまり、不動産所有者が自己破産をすると、原則として管財事件となります。

 

 しかし、不動産を持っていても、債権者に対する分配手続が必要ないような場合は、例外的に管財事件ではなく、同時廃止事件として簡易に処理されます。

 

 どのような場合かというと、所有する不動産に抵当権等の担保が付いており、かつ、その不動産を売却してお金に換え、担保権者に全額を渡してもなお、その担保権者に対する弁済が完了しない場合です。これを、オーバーローン状態と言います。

 

 抵当権を設定している担保権者は、その不動産から他の債権者に優先して弁済を受ける権利があり、このオーバーローン状態になっているときは、不動産をまるごとお金に換えても、抵当権者が一部弁済を受けるだけで、他の債権者に分配する余分なお金が発生しないため、管財事件として処理する必要がなくなります。

 

 もちろん、どのような金額で不動産を売っても良いわけではなく、岐阜地方裁判所の基準では、固定資産税の評価額の1.5倍の金額が目安になります。この金額以上のローン残高があれば、同時廃止事件として処理することができ、高額の予納金を支払わずに済みます。

土田司法書士事務所