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2021.03.27更新

 前回の続きです。最後に、自己破産を申し立てた後、申立人が相続人となる相続が発生した場合について説明します。

 

 自己破産を申し立てる際は、申立時点における財産を報告すればよいことから、申立以降に相続が発生した場合は、破産者の財産として遺産があるということを裁判所は知らないまま手続きが進められます。しかし、破産を申し立てた後であっても、裁判所から破産手続開始決定が出る前に相続が発生した場合は、遺産が極めて少額である場合を除き、債権者に対し、相続した遺産を分配する必要があります。

 

 この点、破産手続きが管財事件であれば、管財人が破産者の法定代理人として適切な対応をすることもできるでしょうが、破産手続きの大部分を占める同時廃止事件であれば、破産者がみずから裁判所に遺産を相続したことを報告しない限り、そのまま手続きが進められるので、遺産相続を隠し通すこともできるでしょう。しかし、これはルール違反です。

 

 破産を申し立てた後、破産手続開始決定が出る前に相続が発生した場合、被相続人の遺産を守るため、遺産分割協議によって遺産を放棄することも考えられますが、これは債権者によって否認されることが認められているため、あまり意味がありません。しかし、破産者が家庭裁判所に相続放棄をすれば、その効果は絶対的なので、債権者によって否認されることもなく、遺産を守ることは可能です。

 

 破産を検討中で、みずからが相続人となる相続が近い時期に発生しそうな方は、速やかに専門家にご相談されるのが無難と言えます。

 

 なお、裁判所より正式に破産手続開始決定が出た後に相続が発生した場合については、破産手続きと関係なく、遺産を相続できます。これは、免責許可決定が出る前でも同じです。

投稿者: 土田司法書士/行政書士事務所

2021.03.18更新

 前回の続きです。次に、相続が発生したものの、遺産分割協議を行う前に自己破産を申し立てた場合について説明します。

 

 この場合、自己破産を申し立てる時点で、既に相続が発生しており、破産者が何らかの遺産を相続する可能性があるため、財産目録の中で、遺産としてすべての相続財産と破産者の法定相続分を記載する必要があります。

 

 そして、遺産の評価額が極めて少ないという場合を除き、管財事件になるため、破産手続開始決定と同時に選任される破産管財人が破産者の法定代理人として、他の共同相続人と遺産分割協議を行うことになりますが、債権者保護の観点から、少なくとも法定相続分については確保することになると思われます。

 

 もっとも、前回で述べたように、具体的な遺産分割協議やそれに基づく遺産の配分手続をしないまま、破産者が破産を申し立てることは通常ないため、このような事態が発生することは考えにくいと言えますが、例えば破産者が他の共同相続人と不仲で、嫌がらせのために、遺産分割未了のまま破産を申し立てるという事態もあり得るので、その場合は、上記のような手続になるということを念頭に置いていただければと思います。

投稿者: 土田司法書士/行政書士事務所

2021.03.13更新

 前回の続きです。次に、遺産分割協議が成立したものの、具体的な遺産分配をする前に自己破産を申し立てた場合について説明します。

 

 この場合、遺産の中に預貯金や不動産などがあり、破産者がそれを遺産分割協議によって取得すると、預貯金の払戻手続や不動産の相続登記をすることになりますが、それをする前に破産を申し立てたとしても、裁判所に対し、財産として報告する必要があります。

 

 自己破産を申し立てる場合、裁判所に財産目録を提出しますが、その中の項目として「遺産」があるため、破産者が遺産分割協議の結果相続した遺産を具体的に記載します。そして、個別の遺産の中で20万円以上のものがあれば、管財事件となります(岐阜地方裁判所基準)。

 

 管財事件となった場合、破産手続開始決定と同時に管財人が選任されるので、その管財人が、破産者の法定代理人として、遺産の具体的な分配を受け、不動産であれば相続登記をし、その後、処分して各債権者に配当手続をすることになります。

 

 ただ、実際は、具体的な遺産分配手続が完了していない段階で破産を申し立てることは稀であり、特に弁護士や司法書士を介して自己破産を申し立てる場合では、遺産分割協議を合意解除してやり直すよう助言を受けるのではないでしょうか。

投稿者: 土田司法書士/行政書士事務所

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