自己破産をした場合でも、破産者が相続することが可能かについては、次の場合に分けて検討する必要があります。

 

①破産前に相続が発生し、遺産分割協議が終了して既に遺産の具体的な配分も完了している場合

②破産前に相続が発生し、遺産分割協議が終了しているが、遺産の具体的な配分をしていない場合

③破産前に相続が発生したが、遺産分割協議をしていない場合

④破産後に相続が発生した場合

 

 まず、①から④いずれの場合であっても、遺産が借金過多などで、破産者が相続を放棄する場合には、そもそも初めから相続人ではないことになるので、自己破産の手続きを進める上で、相続や遺産を考慮する必要はありません。

 

 また、遺産が多く、法定相続分通りに相続していれば、債権者への配当ができた場合であっても、破産者が自己破産申立前に相続放棄をしてしまえば、債権者はその法定相続分に対する権利を主張することができないとされています。相続放棄をするか否かは、相続人が自由に決定することができ、いったん行った相続放棄の効果は絶対的とされているからです。

 

 自己破産を申し立てる場合、破産者は、財産目録を作成して裁判所に提出する必要がありますが、相続財産があれば、財産の一部として報告しなければならず、遺産について具体的に説明する必要があるので、注意が必要となってきます。

 

 次回から、上記①から④の場合に分けて、説明したいと思います。

土田司法書士事務所