専門用語集

2013.04.30更新

こちらの続きです。

 貸金業法の要請する保存義務に反した結果を借主の不利に反映させるのは、保存義務を定めた趣旨に反しますが、原則として、借主側の記憶による取引経過の主張が認められるべきです。
 この点について、下級審判例は、3年間の業務帳簿保存義務期間の経過により保存していないとして、文書提出命令に応じなかった事例につき、「業務帳簿は、商業帳簿に該当するため、帳簿閉鎖の時から10年の保存義務があるところ、これを3年で破棄したのであれば、その不利益は貸金業者において甘受すべき」とし、推定計算で請求した原告の主張を認容しました。

 貸金業者があくまで取引履歴を開示しない場合は、訴訟を提起せざるをえませんが、提起したにもかかわらずなお履歴を開示しない場合、文書提出命令を申し立てることになります。この場合、文書が存在していることは、借主の側で証明しなければなりませんが、問題となっている時期に借り入れないし返済をしたことが一部でも証明できれば、帳簿の保存義務を負う業者としては、保存期間内であれば帳簿を保存していると推測されるので、破棄などの証明をしなければなりません。

 なお、前述の平成17年最高裁判決により、原則開示義務が認められたので、今後は文書提出命令にまで至る事例はほぼなくなると思われます。

続きはこちらをクリックしてください。

投稿者: 土田司法書士事務所

2013.04.29更新

こちらの続きです。

 貸金業法19条は、取引経過を記載した帳簿の保存義務を規定しており、保存期間は、貸付契約の最終返済日から10年とされています。この期間は、平成18年改正により変更されたもので、それまでは3年間とされていました。

 他方、商法19条3項は商業帳簿について、会社法432条2項は株式会社の会計帳簿について、それぞれ帳簿閉鎖の時から10年間保存しなければならないと定めています。

 そこで、両者の関係について問題とされていました。
 この点、会計帳簿には取引を記載することが必要であるところ、取引履歴は、会計帳簿上の取引に該当するので、商法19条からしても、10年間の取引履歴保存義務があると解されていました。

 では、取引履歴開示請求にあたり、保存期間がどのように関係してくるのでしょうか。
 
 取引履歴を明らかにすることにより、利息制限法所定の利率での残元金の再計算ないしみなし弁済をめぐる紛争を解決すべきという必要性は、保存期間が過ぎたからといって解消されるわけではなく、現に帳簿が存在する以上、開示すべきです。前述の平成17年最高裁判決も、開示すべき業務帳簿に保存期間を経過しているものも含むと明示し、開示義務があるとしています。

続きはこちらをクリックしてください。

投稿者: 土田司法書士事務所

2013.04.26更新

こちらの続きです。

 銀行や信用組合が債権者の場合、その銀行などに預金があると、預金債権と借金が対当額で相殺されてしまいます。受任通知後、給料などが入金された場合も同じです。
 したがって、このような相殺を防ぐためには、通知前に預金の払い戻しを受け、以後、振込口座を変更するなどして、給与などが入金されないようにしておくべきです。

 完済した借り入れがある場合、利息制限法の法定利率を越える約定利率であれば、当然に過払い金が生じていることになります。債務整理に伴う費用などを考えると、この過払い金を放置することは妥当でなく、受任に当たっては、完済した業者の有無も確認することになります。

 受任通知を出したからと言って、当然ながら、債務がなくなるわけではありません。しかし、もはや従来と同じ支払ができないと考えて債務整理することにしたわけなので、通知後は支払を停止し、任意整理や自己破産申立のための資金として蓄えておくべきです。

 信販会社のクレジットの場合、通帳から自動引き落しされることが多いので、通帳の残金を支払額を少なくしたり、口座を解約した方がいいでしょう。自動引き落しの停止を銀行に依頼する方法もありますが、これを拒否する銀行もあり、一定の期間を要することもあるので、解約の方がよいと思われます。

投稿者: 土田司法書士事務所

2013.04.25更新

 以前、債務整理の受任通知についていくつか述べましたが、ここではもう少し詳細に述べたいと思います。

 債務整理の委任を受けた場合、最初に債権者に宛て、受任通知書を送付することになります。

 この受任通知が弁護士や司法書士からなされると、貸金業者はもはや債務者に請求できないので、受任通知の持つ意味は非常に大きいと言えます。

 また、受任通知において、取引履歴の開示を求めることになりますが、それだけでなく、保証の有無、判決などの債務名義の有無も確認しておく必要があります。
 そのため、受任通知には、債権調査票などを同封して、取引経過や保証・債務名義の有無などを開示するよう求めていくことになります。

 もっとも、借金額が多すぎるため、取引経過を開示するまでもなく、自己破産の申立をせざるを得ないという場合もあり、その場合には、通知を出さず、いきなり自己破産の申立をすることも考えられます。しかし、申立に準備がかかることや、保証の有無などを確認しておくことも必要があるので、まず通知を出して、債権者からの回答を待ちつつ準備を進めていくことが望ましいと言えます。

 また、債権者にはカードの返却を求めてくるものもいるので、通知書の中にカードとカードの受領書を同封することもあります。念のために、カードはコピーをとっておき、磁気テープの部分にハサミを入れてから送付します。

続きはこちらをクリックしてください。

投稿者: 土田司法書士事務所

2013.04.24更新

こちらの続きです。

 したがって、債務総額が100万円以下の場合、任意整理でも個人再生でも全額を分割払いする必要があるので、原則として、手続の簡単な任意整理を選択することになります。より厳密には、個人再生委員の報酬や司法書士報酬の増加分も考慮する必要があるので、債務総額が百数十万円以下の場合は、任意整理を選択することになります。

 債務総額が百数十万円を超えると、支払総額としては個人再生の方が低額となります。たとえば、債務総額が190万円の場合、任意整理では原則として190万円全額の分割払いとなりますが、個人再生であれば、最低弁済額100万円の分割払いで足りることになります。したがって、原則として、個人再生を選択することになります。

 なお、住宅ローンがあって、住宅を確保する必要がある場合は、個人再生を選択し、住宅資金特別条項を定めるのが一般です。

 引き直し計算によって過払い金が発生した場合には、方針がどうであれ、まず返還請求をします。その結果、一定額の資金が確保できれば、司法書士報酬や費用に充てたり、返済資金に充てたりします。

 過払い金の返還金や親族からの支払により、一括返済の提案をする場合もあります。この場合、引き直し額をさらに減額して支払うことで合意できる場合が多いため、粘り強く交渉することが求められます。

 なお、親族から債務整理の資金を出してもらう場合、依頼者が何ら負担しないことから、債務整理完了後にまた借金を繰り返す可能性があります。
 借金相談の際には、借金繰り返しの危険性を伝え、なるべく依頼者にも事の重大性を分かってもらうようにします。

投稿者: 土田司法書士事務所

2013.04.23更新

こちらの続きです。

 同じ分割支払の場合でも、任意整理は、法的手続きを経る必要がないので、債務整理の方法としては簡易ではありますが、全債権者の同意を要するというデメリットがあります。

 他方、個人再生は、法的手続きを要するので債務整理の方法としては煩雑ですが、債権者の反対があっても、大幅減額をする再生計画が認可されるというメリットがあります。
 すなわち、給与所得者等再生の場合、債権者からの意見聴取で足りるというメリットがあります。小規模個人再生の場合、決議に対する不同意が債権者数で2分の1未満、債権額で2分の1以下であれば可決されるという消極的同意で足ります。

 では、任意整理と個人再生のどちらを選ぶべきかが問題となります。
 個人再生においては、債権額に応じ、最低の弁済金額が定められています。これは、基準債権総額の20%を限度とし、最低が100万円、上限が300万円です。ただし、基準債権総額が100万円未満の場合には、基準債権総額全額が最低弁済額となります。例えば、基準債権総額が300万円の場合、最低弁済額は100万円となりますし、基準債権額が80万円の場合、最低弁済額は80万円となります。

 なお、個人再生の弁済額基準については、清算価値保障原則や可処分所得要件もありますが、借金相談においては、資産が最低弁済基準額を上回ることはあまりなく、可処分所得要件で高額となれば、給与所得者等再生でなく小規模個人再生を選択すれば足りるので、最低弁済基準額が、弁済総額となることが多いようです。

続きはこちらをクリックしてください。

投稿者: 土田司法書士事務所

2013.04.21更新

こちらの続きです。

1.平成25年6月25日東京簡易裁判所判決
 時効期間経過後に弁済をした場合でも、時効援用権を喪失せず、時効援用を認めた事案です。「被告が専門家に相談するまで待ってほしいと依頼したのに対して、原告はその暇を与えず、時効制度を知らない被告に対して、債務の一部弁済を迫って時効援用を阻止しようとした」と認定し、信義則上借主が消滅時効を援用しないであろうという信頼が貸金業者に生じたとは言えないとした判例です。

2.平成25年3月15日東京簡易裁判所判決
 上記と同じ事案で、弁済しなければ職場や家族に連絡すると脅した原告の執拗な取立行為を認定し、最後の取引日から10年経過していたこと、当該弁済の比較的する後に提訴されたことを考慮し、信義則上、「被告がもはや消滅時効の援用をしない趣旨であるとの保護をすべき信頼が原告に生じたとは到底解することができず、被告に本件消滅時効の援用を認めてこれを保護するのが相当」という判断を下した判例です。

3.平成25年6月24日東京簡易裁判所判決
 上記と同じ事案で、時効期間経過後に貸金業者から一括請求を受けて、当該業者より速やかな弁済を求められたことによるものと認定し、貸金業者であれば消滅時効を十分に承知していることも考慮した上で、「被告は、上記支払当時、消滅時効の知識があったならば、消滅時効を援用することが確実に予想されたことなどの諸事情がある」として、信義則上、借主に消滅時効の援用を認めた判例です。

投稿者: 土田司法書士事務所

2013.04.19更新

こちらの続きです。

 相談において、負債状況、資産状況、債務負担の経緯を把握したら、債務整理方針を説明することになります。必ずしも、初回相談で方針を確定させる必要はなく、委任するかどうかが重要です。
 その際、司法書士報酬についてきちんと説明します。また、扶助要件に当たる場合は、そのことも説明します。

 法律扶助の資力要件は、たとえば東京の場合だと、申込者と配偶者の手取り月収額の合計額が、単身者で20万円以下、2人家族で27万6000円以下、3人家族で29万9000円以下、となっています。
 これをみると、多重債務の相談者のかなりの部分が扶助を受けられることになりそうです。相談者の収入が扶助要件を満たす場合、そのことを伝えておく必要があります。ただし、破産や個人再生の予納金は、相談者が負担します。

 なお、扶助の場合の司法書士報酬は、一般の場合と比べてかなり低額ですが、低額とはいえ一括で受領でき、確実に報酬を得られるメリットもあります。

 相談から受任に至った場合、委任契約書を作成します。相談段階で報酬の説明をしていますが、委任契約書を作成することで再度確認することになります。
 また、有償で委任することを委任者に自覚してもらうため、多くの司法書士は着手金を要求しますが、当事務所では一切着手金を要求しておりません。

続きはこちらをクリックしてください。

投稿者: 土田司法書士事務所

2013.04.18更新

こちらの続きです。

 当初借入日は、引き直し計算の前提となるので、必ず記載するようにすべきです。相談者の記憶が曖昧なこともありますが、5年くらい前、10年くらい前といった程度で十分です。この相談者の記憶と開示された初回取引日に大きな差があった場合、相談者に再度確認し、正確な開始時期を把握していくことになります。
 なお、初めて借りたのはいつか、といった質問をした場合でも、相談者によっては借り換え時期を答えることがあるので、何回か借りて返している場合も含めて、初めてその金融会社と取引を始めた時期はいつか、といったように、より詳しく聞いていきます。

 不動産、自動車、退職金、生命保険加入の有無などを確認し、これらの資産があるときは、資産価値について凡その額を聞き取ります。特に退職金や生命保険については、資産という意識を持っていない相談者も多いので、その有無をきちんと確認しておく必要があります。

 免責不許可自由の有無や資産状況の把握のため、どうして借金が膨らんだか訊いておく必要もあります。ただし、相談時間が限られていることもあるので、方針の概要が定められる程度で構いません。

続きはこちらをクリックしてください。

投稿者: 土田司法書士事務所

2013.04.16更新

こちらの続きです。

11について
 税金については、たとえ自己破産でも免責されず、個人再生でも縮減しません。その人が生きている限り、支払義務を負わなければならないため、債務整理に直接関係しませんが、例えば税金の滞納によって、不動産や預金が差し押さえられる危険がある場合、そちらを優先して考えなければならないため、債務整理の方針に影響が出ることもあり、どの程度の滞納税金があるかを訊いておく必要があります。
 なお、この「税金」には、国民健康保険料や、国民年金の掛け金等も含まれるので、注意が必要です。

12について
 最後に、家族に秘密で債務整理をすることを希望するかどうか訊きます。
 債務整理のうち、任意整理は完全に家族にも内緒で行うことができますが、自己破産と個人再生については、申立時に配偶者の給与明細や預金通帳の写しを提出する必要があるため、こっそりコピーできればともかく、そうでない場合は債務整理が家族にも分かってしまうことがあります。
 そのため、可能な限り家族にも協力してもらうよう説得するのが一番ですが、中には債務整理の事実が分かったとたん離婚話になってしまう方もいるので、難しいところです。
 なお、借金相談をして債務整理を正式に司法書士などに委任すると、以後は債権者といえど債務者本人に連絡をとることが原則として禁止されるので、家族や職場にばれることはまずないと言っていいでしょう。

 以上、簡単ではありますが、借金相談での聞き取り事項をまとめてみました。
 これ以外にも、事業をしている場合は、別の聞き取りが必要となってきますし、また、自己破産や個人再生を申し立てる場合は、申立の直前になってから更に細かい事情聴取が必要となります。
 ただ、司法書士には守秘義務が課されているので、借金相談の内容はもちろん、相談があったこと自体も他人に漏れることはありませんし、安心して相談にお越しいただいて大丈夫です。

投稿者: 土田司法書士事務所

前へ
事務所概要bn02.pngメール問い合わせ